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ジュモー・ファッションドール(田中先生の思い出) [リプロダクション・ビスクドール]

2020年2月22日、これだけ2が並んだら、書いておかねば。
故・田中文子{ふみこ}先生の思い出と、ほぼ遺作と呼んでよいか、
ジュモー・ファッションドールのお話。

もう10年か11年も昔に、プランタン銀座のカルチャー教室、
エコール・プランタンで、オレンジブランは1年か1年半か、
ビスクドールのリプロダクション(現代再制作)を習っておりました。

当時の私は会社を休職中で、もし復職できなければ、辞めて転職の
可能性もあり。新しい集団に入っていけるのか?の訓練も兼ねていました。
月に2回のスローペースであることと、共通の好きなものがある集団、
人形のお教室なら、多少ともハードルが低いかと考えて選びました。

本部校は少し遠いので、銀座教室。横浜のお教室も候補でしたが、
亡父の学業訓?で、『習い事、勉強をするなら東京で学べ』に従い、
東京へ出ました。なるほど東京には、お手本であるアンティーク
・ビスクドールの 実物を見る場所も多くあり、納得でした。

生徒は日によって6~8人集まります。先輩方の職業はいろいろ。
年齢層も20代から80代まで?長く続けてらっしゃる方、
講師資格を目指し勉強中の方、遠くから通っておいでの方もいました。
そこで優しくも、テキパキ、指導をなさっていたのが、故・田中文子
先生でした。

お人形を愛し、生徒には優しい。
穏やかなお人柄、けれど人形制作については、極めて職人肌。
先生や先輩方は、ワイワイおしゃべりしながら制作を進めるなか、
私は談話に加わる余裕はなく、貴重な教えをなんとか聴いてはいるものの、
黙々と磁器を磨き、まつ毛を描くのが精いっぱい。だったものでした。

ドレス縫製は家でもできるので、ひたすらヘッド、ヘッド。
通った期間に、3つ作りました。
当時は米国シーリー社が人形関連事業を売却するという過渡期で、
ボディやチャイナペイントなど、材料や道具が日本では品薄で揃わず、
必要なものは、先生から分けていただいて作る感じでした。

で。出来上がった人形たちを見て、私は自分でお人形を作るのには
見切りをつけ、先生が作る美しいお人形を買うのに傾倒してゆきました。
あとで知るのですが、田中先生は、講師であり作家であるほか、
国際コンクールの審査員をする、スペシャルに上手な先生だったのでした。

あっ、日付が変わってしまうので、ここでいったん投稿します。

続き。
人形関連イベントのたび、えっ今回って即売もあったの?
わ~ん、お金を持ってこなかった。ATさん売れちゃってる。
なんてこともあったりで。
ある年、とうとうオーダー制作をお願いしたのです。

日本では作る人も少ない、ファッションドール(大人体型の貴婦人人形)です。
オレンジブランは、リカちゃんやジェニーから入っていますから、
ベベ(幼児体型)よりも、少女やレディがほしい。

ところが制作中に、田中先生が病気入院なさった。
退院してこられたけれども、お休みしていた、講師のお仕事を優先
しなきゃ。オレンジの注文ぶんはゆっくりでいいですよ。
とお伝えしておいた。
そのあと感染症で再度入院とうかがって、エコール・プチピエの
講師も代理講師のまま。先輩生徒さんに連絡をとるべきか。
でも住所もメールも知らないから、お教室に?ムムム。

そうこうしているうち、
ある年の年賀状に、田中先生のご主人からの返信がきて・・。
訃報を知ったのでした。

大ショック。このあとも、先生に作っていただきたい
お人形計画が いくつもあったのに。
やっぱり習って、自分で作れるようになるべきだったのか?
ぐるぐる回る頭の中。

そして、制作をお願いしていたお人形がどうなったのか。
奥様を亡くされたばかりのご主人に対して、言いだしづらい。
どうする。どうすれば。
姉に相談すると、それはむしろ早く言ったほうがいい。と助言
され、思い切って連絡をとりました。

依頼は、先生のメール履歴に残っていたようで、
それと思われるお人形がみつかりました。
ただ、未完成だったので、ご主人から、仕上げを辻容子先生にお願いした。
とご連絡をいただき、完成を待ちました。

ご主人からは、”もし注文のものと違っていたら送り返してください。”
とも、ご配慮いただいたものの。

私も、制作されたヘッドは見ておらず、
シュミーズと 茶系織生地コルセット制作時点の写真しか情報がない。
・EJは持っているので、デポゼかポートレートのヘッド希望。
・お顔はピエールジュモー風で (サンプル写真は送ったが、、)
・ドレスデザインは、ひだのたくさんある、バッスルドレスで。の指定のみ。
・ドレスの色も、できれば青緑と茶系のジャケットドレスが希望だが、
「布がたくさん必要なはずなので、色は限定はせず、見つかったもので
先生にお任せします」にしていました。

おそろしく応答の素早いやりとりのあと、
私からの送金か、お人形到着が 奇{く}しくも「2月22日」に!

青いドレスに、たくさんのひだ。バッスルと黒いビーズ飾りのオーバートレーンつき。
目(アイカット)は、もうちょい細いほうが好みでしたが(←こらこら)、
ドレスデザイン、シュミーズ丈とコルセットが合致し、この人形だろうと納得しました。

(ほぼ遺作、というのは、仕上げで辻容子先生の手が加えられているから。
 田中先生部分90%以上であっても100%ではない。
 100%の作品があったら、そちらが遺作かな、と思うので。
 オレンジブランの気持ち上、《ほぼ遺作》と表現しています。)←意外と堅苦しい人。

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